大手メディアが報じないウクライナ戦争とイラン戦争の実相! 岩上安身によるインタビュー第1225回ゲスト 日本安全保障フォーラム会長・矢野義昭元陸将補 第2弾(後編) 2026.6.5

記事公開日:2026.6.23取材地: テキスト動画独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文:IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
特集 中東
※創業以来最大の財政危機! IWJ会員にご登録いただき、安定的な取材をお支えください!
ご登録はこちらから
※26/6/23 テキスト追加

 岩上安身は2026年6月5日、日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭元陸将補に、インタビュー第2弾を行い、第1弾インタビューに引き続き、「イラン戦争の戦況」について、矢野氏に聞いた。

 イラン戦争の今後について、矢野氏は、「兵站と軍需生産能力が、最後、(勝敗を)決めるんです。それについての見通しが、あまりにも甘すぎた」と述べ、米国とイランとのミサイル生産能力の大きな差と同時に、戦場が米国から遠いペルシャ湾であることにも注目して、以下のように語った。

 「米国は、1万数千キロの彼方、地球の裏側で戦争をやっているようなものですから。

 それに対して、ペルシャ湾は、半分はイランの領海ですからね。それは、かなうわけがないですよ。

 兵站能力というのは、2乗で効いてくるので、たとえば10倍の距離があるということは、100倍、力が発揮できないということです。(中略)

 だから、イランの国土で戦うということは、米国には無謀なんです。勝ち目はない」。

 「だからこそ、逆に停戦交渉を長引かせて、少しでも有利な状況で話をつけたいというのが、トランプさんの思惑でしょう」との見方を示した矢野氏は、「それは、結局、戦力の消耗を早めるので、逆効果です」と、断言した。

 停戦交渉が頓挫し、戦闘が再開した場合について、矢野氏は、「イランが一方的に、イスラエルや湾岸諸国の米軍基地をミサイル攻撃する。米軍は、イランに封鎖されたホルムズ海峡を破ることもできず、退避せざるを得ないのではないか」との見通しを示した。

 さらに、「最終的に勝敗を決するのは、地上戦力」だと指摘する矢野氏は、米軍には、イランへの上陸作戦で勝ち目がないことを示した上で、「占領を維持できない米軍・イスラエル軍に勝ち目はない」と、断言した。

 米・中・露の核戦力バランスと抑止力、さらに核の傘に効力がないことについて、矢野氏は、以下のように解説した。

 「核戦力の破壊作用というのは、一種の物理現象です。だから、通常戦争と違って、シミュレーションでかなり高い精度で結果が予測できるんです。

 人口がどれぐらい損失を受けるのか、都市はどれぐらい破壊されるのか、施設はどれぐらい破壊されるのか、そういうのは、かなり読めるんです。

 そうすると、戦う前に、今の戦力バランスだと、どちらがどれだけの損害を受けるか、ということもわかるので、戦ったあと存続できないような被害を受けるということがわかっている側は、引き下がりますよね。

 それは、まさに、核の抑止力の本質であって、そのために、核保有国は、お互いに核戦力の競争をやってもいるわけです。

 今、米国と、中国・ロシアが、核戦争で交戦したらどうなるか、ということは、お互いにだいたいわかるわけです。

 ということは、どちらかが有利だと見れば、不利な方は、いよいよとなった場合は引き下がらざるを得ない。

 ましてや、同盟国のために核の傘を提供するということになると、自国を犠牲にして勝てるという見通しのない戦いで、しかも核戦争で、他国のために核を使うということですから、これは、あり得ない話です。

 米国と、中国・ロシアの核戦力バランスは、もうすでにそういう構造になっている、ということです」。

 さらに矢野氏は、2019年にトランプ政権が一方的に中距離核戦力全廃条約から抜ける以前、条約に拘束されていなかった中国は、2000年代から中距離核を増強していたのだと解説した。

 条約離脱後、予算も確保できず、中距離核の開発が遅れていた米国に対し、ロシアは、極超音速や機動型の中距離核弾道ミサイルの開発を続けていたが、矢野氏は、「実は、中国は、もうそれ以前から、数十年にわたって、どんどん配備も開発も進めていたわけです。極超音速の中距離核兵器についても、中国の方が、むしろロシアに先行している」と述べ、以下のように続けた。

 「ウクライナの戦場で、ロシアがオレシュニクを使って威力を発揮していますけれども、実は中国は、それ以上のものを持っていて、しかも大量に配備している。

 それ(射程)が、西太平洋を覆っている、というのが実情で、だから今のウクライナ以上に、西太平洋における、この中国のミサイル網に対する脅威が高くなっています。

 (有事の際に)米国の空母打撃群も入れない、ということが言われているわけです」。

 矢野氏は、「世界は、国際法や条約の取り決めのない『ルールなき時代』、『自由と民主主義』という大義すらもない時代、世界の覇権国がその覇権の拡大をめぐって、力の衝突を繰り返す『ジャングルの掟』が支配する時代へ向かうのではないか」との見方を示している。

 「欧米はみんな、自分達がルールを作っておいて、その埒外で、自分達が不利になったらルールを変えることを繰り返している」と批判する矢野氏は、米国について、「帝国の覇権の終末段階。自暴自棄になってしまって、合理的判断が通用しない状況に入っている。これは、人類文明の荒廃、知恵の荒廃ですから、既存の秩序とか条約というのが、もう意味を持たなくなっている。ニヒリズムです」と語った。

 さらに矢野氏は、「今の国連は、もう機能停止している。5大国に拒否権があって、国際秩序を守るわけがない」と指摘し、「求められているのは、国連の再建ではないと思います。新しく国際秩序を作るための何らかの枠組みをもう一度立て直すということです」と、持論を述べた。

<会員向け動画 特別公開中>

■【エッセンス版・7】岩上安身による矢野義昭氏インタビュー (第2回)

■【エッセンス版・8】岩上安身による矢野義昭氏インタビュー (第2回)

■ 【エッセンス版・9】岩上安身による矢野義昭氏インタビュー (第2回)

■全編動画 後編

  • 日時 2026年6月5日(金)14:00~17:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です