岩上安身は2026年5月22日、日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭元陸将補に、インタビューを行った。
後編では、「イラン戦争の『目的』はどこに?」と題して、検証を行った。
矢野氏は、イスラエルが核保有国であることを指摘し、「核があるがゆえに、米国を巻き込むこともできるし、周辺の国に軍事侵略ができる」と述べ、以下のように続けた。
「ところがイランが持てば、すぐサウジも持ちます。
サウジは、パキスタンの核開発当初から、資金提供してきました。中国製の中距離弾道弾も持っています。いつでも核保有できます。
イランが持つと、サウジも持つ。トルコもいずれ核保有国になる可能性が高い。エジプトも弾道ミサイルを持っているから、潜在力はある。
だから、イランが持つということは、イスラエルの核が相対化され、中東全域の中で水平的に拡散し、核拡散のドミノ現象が起こる可能性があります。
それを阻止するというのが、ネタニヤフ政権にとっての、最大の生きるか死ぬかの問題ですし、米国から見ても、今のNPT体制の中で、核の寡占状態で、核大国が管理するという状況が、中東の一角で崩れてしまうわけです。
そうすると、偶発戦争が起こる可能性がある。その大義名分もあって、イラン戦争をやったという面もあると思います」。
その一方で、矢野氏は、「イスラエルだけが、地域で核独占している状態は、『大イスラエル主義』のように、イスラエルの一方的な帝国主義的軍事侵略を誘発する危険性がある。将来的に周辺国との軋轢は避けられない」と述べ、「どちらにしても、この問題は、地域の不安定化の要素になる」と論じた。
岩上安身の「もし、核の撃ちあいになったら」という仮定の質問に対し、矢野氏は、米国やイスラエルが、イランを「核攻撃しても、勝てない」と、以下のように断じた。
「国土の半分が砂漠地帯のイスラエルは、(少ない核攻撃でも)国家壊滅状態になるでしょう。
それに対してイランは、ウクライナの倍以上の面積があり、しかも山がちの国土です。イランの東部の方は、今回の米軍の空襲でも手つかずで、被害は受けていません。
その山岳地帯の中に、核施設などが分散して隠されているんじゃないか、という話もあります。
イスラエルが仮に、(核ミサイルを)数十発か数百発撃ち込んだとしても、花崗岩質の山がちの国土では、地下施設はそれほど打撃を受けないと思います。
第一、どこにあるか、わからないですから、撃ちようがありません。
それを、完全に制圧しようと思ったら、地域的にでも地上兵力を送り込んで、しらみつぶしにやるしかない。けど、それには数百万の兵力が必要なので、できない。
これと同じことが、北朝鮮で、1994年~1995年頃ありました。その時、北朝鮮を攻撃する案もあったのですが、空爆だけでは潰せない。でも、地上軍を送ると、数百万の被害が出るということで、クリントン政権は、諦めました。
イランが相手だと、もっと膨大な戦力が必要になります。核攻撃したって、勝てないです」。




































